iPhoneケースを作る

ほとんど自転車のことばかり書いているので自転車ブログのような印象があるが、一応それ以外に自作ネタも扱う。
今日はiPhoneケースの自作である。

発端

iPhone購入当初、手帳か文庫のような感覚で持ち歩いて使用したいと考えていた。レザーケースは多数あるが横開きのものは少数で、単に蓋を帯で留めたものではなく本のように表紙が一続きのものとなると非常に少ない。更に粘着剤での固定を行なわないものは事実上SimplismのFlip Styleただ一つだった。
なかなか雰囲気の悪くないケースではあったが、いくつかの点で不満があったため2週間ほどで使用を止めてしまった。
ひとつはカメラホールのケラレ。このケースは鉄板の入った背面と前面フチの間に本体を挟んで固定するタイプなのだが、それ故にケースと本体の位置関係が一定しない。どうしても使用中に多少のズレを生じる。するとカメラとケースの穴位置が一致せず、撮影画像の一部にケースが映り込む例が頻発。これではカメラが使いものにならない。
もうひとつは前面の縁。前述の通り前後で本体を挟み込む構造のために縁も細い鉄板を革でサンドした構造になっていたのだが、結果として画面に厚み2mmぐらいの縁取りができてしまう。これが画面端へのフリップ操作などを悉く邪魔することになる。頻発する操作でもないのだが、例えばアイコンのドラッグによる画面送りや、ゲームなどで右上あたりにメニューボタンがあるものなどで操作が妨害されてしまう。
また、このケースは右開きで左に本体が来る配置だったのだが、これだと左手でのホールドに不便を生じる。文庫を片側に大きくページを偏らせて状態で片手ホールドする状況を想像頂きたい。左に重みがある場合、恐らくは左手小指を本の中央に挟み込んで開きを維持することになると思うが、この姿勢は非力な小指に負担がかかる。対して右に重みがある場合は力のある親指だけで支えれば良く、疲労が少ない。
ついでにSimplismのケースは前後の板をしっかりホールドするために下にも細いながら帯があって前後を繋いでいるのだが、それが為に充電コネクタの固定が外れ易い問題点もあった。


色々調べて理解できたことは、私の持つ不満を完全解消する製品などどこにもないということだった。一時はレザークラフトの店にオーダーしようかとまで考えたのだが、一時凌ぎに購入した背面のみを覆うジャケットが中々に具合良かったこと、またシステム手帳にジャストサイズのものを発見したことから一気に自作へと傾くことになる。

用意するもの

自作とはいっても1からの制作は手間もかかるし、第一そんな技術は持ち合わせていないので、あくまで既製品の組み合わせを前提に考えた。iPhoneに近いサイズの手帳と、iPhoneをホールドするための樹脂ケースさえあれば、機能性と素材感を両立できるのではないか。
そうして選択したのが、Bindexの牛革mini5穴システム手帳Power Supportのポリカーボネート製iPhoneジャケット。mini5穴システム手帳は縦サイズがほぼiPhone3Gと一致、横幅も大きくないので胸ポケットに納めるサイズとしては理想的。またAirジャケットは硬く弾力のあるポリカーボの薄い背面ケースで、付けていることがほとんど判らないので、「iPhoneを挟んだ手帳」の雰囲気を損なうことがない。
これならば、当初の不満点をすべて解消する完璧なケースが作れる筈だ。
また、材料以外の工具として以下のものを用意した。

  • 10mmのポンチ
    • カメラ穴加工用
  • 細い棒やすりまたはマイナスドライヴァー
    • 手帳の分解用
  • 合成ゴム系接着剤
    • 手帳とジャケットとの接着用

見立て

まずは手帳を開きiPhoneを載せて様子を見る。

サイズはジャストだがリングが邪魔をする。右縁ギリギリまで本体を寄せればリングと干渉しないが、厚みを考慮してもリングとの共存は諦めた方が良さそうだ。
上下は本当にジャストサイズ。ジャストすぎて落下時の保護という点では些か心許ないが、まあそれは致し方ない。

リングの取り外し

一見すると嵌め殺しで分解不可能に見えるが、よく見ると上から被せた板が下の土台を左右で押さえる構造になっているのが判る。

そこで開いた状態から上下の隙間に硬い棒を突っ込んで梃子の要領で剥がすことにした。

剥がしてみるとこのように、リング部分が左右に分かれ、その下にバネが位置するような構造のようだ。

ネジなどはないがリングを左右に押し広げてみたらあっさり外れた。

下の台座は革の内側に納められた金属板からの爪で固定されている。

爪を起こして台座も外した状態。何故か下方のみ爪付近が縦に裂けている。ここから裏面のプレートを入れたのかとも思ったが、普通なら挟んでから縫うよなぁ。ちょっと見栄えが悪いので、後日なんとかしたい。
爪は切り取ろうかとも思ったが、下手にやると角が残り却って危ない気もしたので元通り折り曲げるのみに留めた。

カメラ穴の位置決め

ジャケットを置いて手帳で挟み、位置を確認する。カメラ穴の部分は中央にピンを刺し、カメラホール加工の目安とする。
ホールはポンチで穿つ。東急ハンズで10mmのポンチを買ってあったので、これをあてがってグリグリ押し込んで穴空け。

接着

手帳の内側とジャケット背面に、それぞれ合成ゴム系接着剤を塗布して乾燥を待つ。これは両面に塗布乾燥させたものを圧着させて貼り合わせる接着剤で、応用範囲が広くなにかと役立つ。
穴位置が中心になるように合わせつつしっかり貼り合わせ。

完成






あっさりケースが完成してしまった。本革の手帳が4千円ほど、ハードケースが2千円ほど、その他多少の工具なども勘案すると総計で7千円ほどかかっているが、革ケースを発注するようなことになればその倍は見る必要があるし、市販のものでも本革縫製となると1万円前後にもなるので、決して高くはない。ていうか非常にお手頃だと思う。
工作の難易度もかなり低いので、革手帳風に拘りのある向きは是非お試し頂きたい。